家族信託完全ガイド|親が認知症になる前に知っておきたい財産管理・費用・手続き・成年後見との違い【2026年版】

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目次

家族信託完全ガイド|親が認知症になる前に準備したい財産管理・費用・手続き・成年後見との違い

「親が認知症になったら、銀行口座のお金はどうなるの?」

「老人ホームに入るとき、実家を売却して入居費用に充てられる?」

「家族信託をしておけば、成年後見人は必要なくなる?」

「家族信託には、いくら費用がかかるの?」

高齢の親を持つご家族にとって、財産管理と介護の問題は切り離せません。

親が元気なうちは問題なくても、認知症などによって判断能力が低下すると、預貯金の管理や不動産の売却、介護費用の準備が難しくなる場合があります。

そこで検討される方法の一つが「家族信託」です。

家族信託は、元気なうちに信頼できる家族などへ財産の管理を託し、将来の判断能力低下に備える仕組みです。

ただし、家族信託だけで介護・入院・老人ホーム入居・身元保証・死後事務のすべてを解決できるわけではありません。

この記事では、家族信託の仕組み、メリット・デメリット、費用、手続き、成年後見との違い、そして高齢者の生活支援との関係まで解説します。

第1章|家族信託とは?認知症対策になる?

家族信託とは、財産を持つ人が、信頼できる家族などに財産の管理や処分を託す仕組みです。

一般に、家族間で行う民事信託を「家族信託」と呼びます。

例えば、父親が所有する自宅について、元気なうちに長男へ管理・処分を託す契約を結んでおけば、その後に父親の判断能力が低下しても、契約で認められた範囲で長男が管理や売却を進められる場合があります。

ただし、契約の時点で本人に必要な判断能力があること、信託契約の内容が適切であることが前提です。

家族信託は「認知症になった後に何でもできる制度」ではなく、「認知症などに備えて、元気なうちに財産管理の方法を決める仕組み」です。

第2章|家族信託の仕組みを分かりやすく解説

家族信託には、主に3つの立場があります。

立場役割親子での例
委託者財産を信託する人父親
受託者財産を管理・処分する人長男
受益者信託財産から利益を受ける人父親

委託者とは?

自宅や金銭など、自分の財産を信託する人です。

受託者とは?

信託契約に従って、財産を管理・処分する人です。

受託者は、自分のために自由に財産を使えるわけではありません。受益者の利益を守り、信託の目的に沿って管理する義務があります。

受益者とは?

信託財産から利益を受ける人です。

例えば、父親が委託者と受益者を兼ね、長男が受託者になる形では、長男が管理していても、財産から得られる利益は父親のために使われます。

このように、委託者と受益者が同じ人である信託を「自益信託」といいます。

家族信託をすると財産は子どものものになる?

信託財産の法的な管理・処分権限は受託者へ移りますが、受託者が自分の財産として自由に使えるわけではありません。

受託者は、信託財産を自分の固有財産と分けて管理する必要があります。

親の生活費や介護費用のために信託した財産を、子どもの個人的な買い物などに使うことはできません。

第3章|家族信託でできること

3-1. 親の自宅を管理する

家族信託では、自宅を信託財産に含め、受託者が管理できるようにすることがあります。

例えば、親が施設へ入居した後、空き家になった自宅の管理が必要になる場合です。

信託契約で認められていれば、受託者が管理や賃貸などを行える場合があります。

3-2. 老人ホーム入居に備えて自宅を売却する

親が老人ホームへ入居すると、入居一時金や毎月の利用料が必要になることがあります。

自宅の売却代金を介護費用に充てたいと考えるご家庭もあるでしょう。

家族信託によって適切な権限を設定していれば、親の判断能力が低下した後でも、受託者が信託不動産を売却できる場合があります。

ただし、売却権限の有無、信託登記、金融機関との関係、税務などの確認が必要です。

3-3. 賃貸不動産の管理を任せる

親がアパートやマンションを所有している場合、家賃の管理、修繕、賃貸借契約などの対応が必要です。

家族信託を利用することで、信託契約の範囲内で受託者が管理を担う仕組みを作れます。

3-4. 信託した金銭を本人のために管理する

現金などを信託財産とし、本人の生活費や介護費用に充てることも考えられます。

ただし、親名義の既存の銀行口座が、そのまま家族の自由に使える口座になるわけではありません。

信託財産の管理方法や金融機関の対応について、契約前に確認する必要があります。

3-5. 財産承継の方法を決める

信託契約では、本人が亡くなった後の受益者や、信託終了後の財産の帰属先などを定められる場合があります。

ただし、遺留分、相続税、ほかの相続財産との関係など、専門的な検討が必要です。

家族信託を結べば相続トラブルが必ずなくなるわけではありません。

第4章|家族信託でできないこと

家族信託を検討する際に、最も注意していただきたい部分です。

4-1. 老人ホームの入居契約を当然に代理できるわけではない

家族信託は、信託した財産の管理・処分を中心とする仕組みです。

受託者になったからといって、本人のすべての法律行為について代理権を持つわけではありません。

老人ホームの入居契約など、本人の生活に関する契約については、別途、成年後見や任意後見などを検討する必要がある場合があります。

4-2. 身元保証人の代わりにはならない

老人ホームや病院では、緊急連絡先、身元引受人、費用の保証などを求められる場合があります。

家族信託の受託者であることだけで、これらの役割をすべて引き受けたことにはなりません。

施設や病院が何を求めているのか、具体的に確認することが大切です。

4-3. 医療行為への同意を代行できる制度ではない

家族信託の契約によって、受託者に医療行為への同意権が当然に与えられるわけではありません。

本人の意思決定支援や医療機関との相談が必要です。

4-4. 日常の介護や見守りを代行するものではない

受託者は財産管理の役割を担いますが、身体介護や日常的な見守りを直接行う義務が、家族信託だけで当然に生じるわけではありません。

4-5. 葬儀や死後事務をすべて代行するものではない

家族信託で財産の承継先などを定めることはできますが、葬儀、納骨、遺品整理、住居の明渡しなどの実務は別問題です。

必要に応じて、死後事務委任契約などを検討します。

第5章|家族信託は認知症になってからでもできる?

家族信託の契約には、本人が契約内容を理解し、意思表示できる能力が必要です。

そのため、認知症が進み、契約内容を理解できない状態になってからでは、家族信託を新たに始めることは困難です。

ただし、「認知症と診断された=必ず契約できない」という意味ではありません。

診断名だけでなく、契約時の判断能力が重要です。

すでに認知症が進んでいる場合

まず、本人が何に困っているのかを整理しましょう。

預貯金管理、不動産売却、施設入居契約などについて、法定後見制度が適切な場合があります。

家族信託ができないからといって、何も方法がないわけではありません。

まだ元気な場合

将来に備え、家族信託、任意後見、遺言、財産管理委任などを比較検討できます。

特に、自宅や賃貸不動産を所有している方は、判断能力があるうちに準備することが重要です。

第6章|家族信託と成年後見・任意後見の違い

比較項目家族信託法定後見任意後見
主な目的信託財産の管理・処分・承継判断能力が不十分な方の権利保護将来の判断能力低下への備え
準備する時期契約できる判断能力があるとき判断能力が不十分になった後判断能力があるうち
財産管理信託した財産が対象権限の範囲に応じて対応契約で定めた代理権の範囲
生活面の契約原則として別途検討権限の範囲で対応契約で定めた範囲で対応
管理する人信託で定めた受託者家庭裁判所が選任本人が契約で選んだ人
監督の仕組み信託内容や法律による家庭裁判所等任意後見監督人
身元保証別途検討別途検討別途検討
死後事務別途検討一定の死後事務に関する規定あり原則として別途検討

家族信託と成年後見はどちらがいい?

一律にどちらが優れているとはいえません。

自宅や賃貸不動産など、特定の財産を将来も管理・処分したい場合には、家族信託が選択肢になります。

一方、本人の判断能力がすでに低下し、生活に必要な契約や財産管理全般の支援が必要な場合には、成年後見制度を検討します。

家族信託と任意後見を組み合わせる方法もあります。

第7章|家族信託の費用はいくら?

家族信託には全国一律の料金はありません。

契約内容、財産の種類、財産額、専門家への依頼範囲などによって異なります。

主な費用

費用項目内容
専門家への相談・設計報酬信託内容の検討、契約設計など
契約書作成費用信託契約書の作成
公正証書作成費用公正証書にする場合の手数料
信託登記費用不動産を信託する場合の登記費用
登録免許税信託登記等に関する税金
税理士への相談費用税務上の確認が必要な場合
継続的な管理費用信託内容や管理方法によって発生

家族信託は必ず公正証書にする必要がある?

信託契約は、一般に必ず公正証書で作成しなければ成立しないものではありません。

ただし、本人の意思確認、契約内容の明確化、金融機関での手続きなどを考慮し、公正証書による作成が検討されます。

成年後見より安い?

必ずしもそうとはいえません。

家族信託は初期費用がかかる場合があります。一方、成年後見では継続的な報酬負担が生じる場合があります。

ただし、家族信託にも管理負担や専門家費用があり、単純に総額を比較することはできません。

費用だけでなく、必要な権限と支援範囲を確認しましょう。

第8章|家族信託のデメリットと注意点

8-1. 受託者に責任と負担がかかる

受託者には、信託財産の適切な管理、分別管理、帳簿等の作成、報告などの義務があります。

「子どもに任せれば簡単」というものではありません。

8-2. 家族間のトラブルにつながる場合がある

一人の子どもが親の財産を管理することに対して、ほかの兄弟姉妹が不安を感じる場合があります。

本人の意思を尊重しながら、必要な説明や情報共有を検討しましょう。

8-3. すべての財産を自由に信託できるわけではない

財産の種類によって、信託の可否や実務上の制約が異なります。

特に、金融商品、借入れのある不動産、農地などは慎重な確認が必要です。

8-4. 税金の問題が生じる場合がある

信託の設定方法、受益者の変更、信託終了時の財産の帰属などによって、税務上の取扱いが異なります。

家族信託をすれば必ず節税できるわけではありません。

8-5. 信託した財産以外は管理できない

家族信託の対象は、信託した財産です。

信託していない預貯金や不動産についてまで、受託者が当然に管理権限を持つわけではありません。

8-6. 信託契約の内容が将来の選択肢を左右する

受託者の交代、信託終了の条件、財産の売却権限、本人死亡後の取扱いなどを十分に検討する必要があります。

契約書を作ること自体ではなく、将来の生活に合った仕組みを設計することが重要です。

第9章|家族信託を始めるまでの流れ

ステップ1:本人と家族の希望を整理する

「自宅を将来売却したい」「賃貸不動産の管理を任せたい」「介護費用を確保したい」など、目的を明確にします。

ステップ2:財産を確認する

不動産、預貯金、借入れ、賃貸収入などを整理します。

ステップ3:信託する財産と受託者を決める

誰に、どの財産を、どこまで管理してもらうのかを検討します。

ステップ4:法律・登記・税務の専門家に相談する

信託契約の設計や登記、税務について、必要な専門家に確認します。

ステップ5:信託契約を締結する

本人の意思と判断能力を確認したうえで、契約内容を確定します。

ステップ6:必要な登記・財産管理の手続きを行う

不動産を信託する場合は、信託登記等の手続きが必要です。

金銭の管理方法についても、金融機関の対応を確認します。

ステップ7:管理状況を定期的に確認する

受託者が適切に財産を管理しているか、本人の生活費や介護費用が確保されているかを確認します。

第10章|ケース別・家族信託を検討したい場面

ケース1:親が一人暮らしをしている

今後、認知症や身体機能の低下によって自宅での生活が難しくなる可能性があります。

家族信託で自宅の管理・売却に備える方法がありますが、日常の見守りや介護サービスの手配は別に考える必要があります。

ケース2:老人ホームの費用を自宅売却で準備したい

自宅を売却して老人ホームの入居費用や月額費用に充てたい場合です。

本人に判断能力があるうちに、売却する方法や時期、家族信託の必要性を検討します。

すでに判断能力が低下している場合は、成年後見制度などを検討することがあります。

ケース3:親が賃貸アパートを所有している

家賃収入の管理、修繕、入居者対応などを将来も続ける必要があります。

信託契約で定めた範囲で、受託者に管理を任せることが考えられます。

ケース4:身寄りがない高齢者

家族信託は、信頼できる受託者がいることが重要です。

家族がいない場合には、家族信託だけにこだわらず、任意後見、成年後見、身元保証、見守り、死後事務などを含めて検討しましょう。

ケース5:ケアマネジャーや病院MSWが支援している

利用者の財産管理が難しくなっている場合、支援者自身が安易に財産を預かるのではなく、本人の判断能力や必要な手続きを整理し、権利擁護窓口や法律専門職につなぐことが大切です。

家族信託が適切なのか、成年後見が必要なのかは、個別の状況によって異なります。

第11章|家族信託と老人ホーム・身元保証の関係

家族信託で財産管理の準備をしても、老人ホームへの入居に関する課題がすべて解決するとは限りません。

例えば、次のような問題が残ることがあります。

  • 老人ホームをどのように選ぶか
  • 入居契約を誰が行うか
  • 身元保証人や緊急連絡先をどうするか
  • 退院後にどこで生活するか
  • 入居後の費用をどのように管理するか
  • 亡くなった後の葬儀や納骨を誰に頼むか

財産管理と生活支援は、それぞれ役割が異なります。

一般社団法人 東京都社会福祉支援センターでは、老人ホーム紹介、身元保証・身元引受、居住支援、退院支援、死後事務などについてご相談を承っています。

家族信託の契約設計や信託登記など、法律専門職による対応が必要な事項は、適切な専門家への確認が必要です。

第12章|東京都で家族信託について相談するには?

家族信託の契約内容や不動産登記については、信託実務に詳しい司法書士や弁護士などへの相談が考えられます。

税務上の問題は税理士への確認が必要です。

一方、老人ホーム入居や身元保証、退院後の住まいなど、生活上の問題がある場合には、福祉の相談窓口にも相談しましょう。

足立区・葛飾区など東京都内でお困りの方へ

東京都社会福祉支援センターでは、次のようなお悩みについてご相談を承っています。

「親の認知症が心配で、老人ホームを探し始めている」

「自宅の売却を考えているが、入居費用をどう準備すればよいか分からない」

「家族信託を検討しているが、身元保証も必要なのか知りたい」

「成年後見人はいるが、入居先や緊急連絡先で困っている」

「身寄りがなく、将来の生活や死後の手続きが心配」

家族信託そのものの契約だけでなく、その先の生活をどのように支えるかが重要です。

第13章|家族信託についてよくある質問

Q1. 家族信託は認知症になってからでもできますか?

本人に契約内容を理解する判断能力が必要です。認知症と診断されていても状態によっては契約できる場合がありますが、判断能力が不十分な場合は難しくなります。

Q2. 家族信託をすれば親の銀行口座は凍結されませんか?

家族信託によって信託した金銭を管理する仕組みは作れますが、親名義の既存口座について、すべての取引が継続できることを保証するものではありません。金融機関の対応を確認する必要があります。

Q3. 家族信託で実家を売却できますか?

信託契約で受託者に売却権限が認められていれば、信託した不動産を売却できる場合があります。登記や税務、金融機関との関係も確認が必要です。

Q4. 家族信託をすれば成年後見人は不要ですか?

必ずしもそうではありません。家族信託は信託財産の管理が中心であり、本人の生活に関する法律行為などについて成年後見制度が必要になる場合があります。

Q5. 家族信託の費用はいくらですか?

全国一律の料金はありません。専門家報酬、公正証書作成費用、不動産の信託登記費用などが考えられます。財産の内容と依頼範囲に応じた見積りが必要です。

Q6. 家族信託をすれば相続税が安くなりますか?

家族信託自体に、必ず相続税を安くする効果があるわけではありません。受益者や財産の帰属方法などによって税務上の取扱いが異なります。

Q7. 家族信託と身元保証は一緒に準備できますか?

それぞれの役割を整理したうえで、併せて準備を検討できます。ただし、家族信託を結んだだけで身元保証サービスが付くわけではありません。

第14章|親の将来を考えるなら、財産だけでなく暮らしも準備しましょう

家族信託は、認知症などによる判断能力の低下に備え、財産の管理や処分を信頼できる人に託す方法の一つです。

しかし、大切なのは財産を管理することだけではありません。

「これからどこで暮らしたいのか」

「介護が必要になったらどうするのか」

「老人ホームへの入居を誰に相談するのか」

「身元保証人や緊急連絡先はどうするのか」

「亡くなった後の手続きをどう準備するのか」

こうした問題を一緒に整理することで、本人の希望に沿った生活の準備につながります。

一般社団法人 東京都社会福祉支援センターでは、老人ホーム紹介、身元保証、退院支援、居住支援、死後事務など、高齢者の住まいと暮らしに関するご相談に対応しています。

ご本人・ご家族はもちろん、ケアマネジャー、病院MSW、地域包括支援センターなど、支援者の方からのご相談も承っています。

「家族信託が必要かどうか分からない」

「成年後見との違いを整理したい」

「親の老人ホーム入居について相談したい」

そのような段階でも、まずは今のお困りごとをお聞かせください。


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「親が認知症になる前に、何を準備すればいい?」

「老人ホームへの入居を考えているけれど、実家の管理が心配」

「家族信託と成年後見、どちらが必要なのか分からない」

一般社団法人 東京都社会福祉支援センターでは、こうした高齢者の暮らしに関する不安を整理し、老人ホーム紹介、身元保証、居住支援、退院支援、死後事務などのご相談を承っています。

家族信託の契約設計や登記・税務については、必要に応じて法律・税務の専門家に確認することが大切です。

ご本人・ご家族はもちろん、ケアマネジャーや病院MSWなど支援者の方もご相談ください。

まだ具体的な方針が決まっていなくても構いません。まずは現在のお困りごとをお聞かせください。


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