目次
- 1. 第1章 成年後見制度とは?まず結論
- 2. 第2章 成年後見制度は何のための制度?
- 3. 第3章 成年後見制度には何種類ある?
- 後見
- 保佐
- 補助
- 4. 任意後見とは?
- 5. 第4章 成年後見人は何をしてくれる?
- 財産管理
- 契約等の法律行為
- 本人の生活への配慮
- 6. 第5章 成年後見人が「できないこと」は?
- 1.実際の介護
- 2.身元保証人・身元引受人になること
- 3.医療行為への同意
- 4.何でも本人の代わりに決めること
- 7. 第6章 成年後見と身元保証は何が違う?
- 8. 第7章 成年後見と死後事務は同じ?
- 9. 第8章 成年後見と遺言は何が違う?
- 10. 成年後見と任意後見はどちらを選べばいい?
- 11. 第9章 成年後見制度を利用する流れ
- 12. 成年後見人は家族がなれる?
- 13. 成年後見制度には費用がかかる?
- 14. 一度成年後見を始めたら途中でやめられる?

成年後見制度完全ガイド|仕組み・費用・手続き・任意後見・身元保証との違い
第1章 成年後見制度とは?まず結論
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、成年後見人等を選び、財産管理や契約などを法律面から支援する制度です。
ただし、
「成年後見人がいれば、家族の代わりに何でもしてもらえる」
という制度ではありません。
身元保証、実際の介護、医療行為への同意、本人が亡くなった後の手続きなど、成年後見人の通常の職務には含まれないものがあります。
そのため、
成年後見
身元保証
居住支援
生活支援
死後事務
それぞれの役割を分けて考えることが重要です。
第2章 成年後見制度は何のための制度?
成年後見制度の中心的な目的は、
「判断能力が十分ではない方の権利や財産を守り、本人の生活を法律面から支援すること」
です。
例えば認知症が進み、
・預貯金の管理が難しい
・必要な契約内容を理解することが難しい
・介護サービスの契約が難しい
・不利益な契約をしてしまう心配がある
・財産管理ができなくなってきた
といった問題が生じることがあります。
成年後見制度は、こうした方を法律面から支えるための制度です。
重要なのは、
「認知症=必ず成年後見」
ではないことです。
診断名だけで決まるものではなく、本人の判断能力や、実際にどのような支援が必要なのかを考える必要があります。
第3章 成年後見制度には何種類ある?
現在の成年後見制度は、大きく、
- 法定後見制度
- 任意後見制度
に分かれます。
法定後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて、
・後見
・保佐
・補助
の3類型があります。
後見
判断能力を欠くのが通常の状態にある方が対象です。
家庭裁判所が成年後見人を選任します。
保佐
判断能力が著しく不十分な方が対象です。
家庭裁判所が保佐人を選任します。
補助
判断能力が不十分な方が対象です。
家庭裁判所が補助人を選任します。
どの類型になるかを家族だけで決めるわけではありません。
申立て後、家庭裁判所が本人の状況等を踏まえて判断します。
任意後見とは?
任意後見は、
「まだ十分な判断能力があるうちに、将来に備える制度」
です。
本人が、
「将来、認知症などで判断能力が低下したら、この人に支援してほしい」
と考える人をあらかじめ選び、任意後見契約を結びます。
任意後見契約は公正証書で締結します。
そして実際に判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、任意後見契約の効力が生じます。
つまり、
契約した瞬間から任意後見が始まる
わけではありません。
第4章 成年後見人は何をしてくれる?
代表的なのは、
財産管理
・預貯金等の管理
・収入、支出の管理
・必要な支払い
・本人の財産状況の把握
などです。
契約等の法律行為
本人に必要な介護・福祉サービス等の契約や、権限の範囲内での各種法律行為を行います。
本人の生活への配慮
成年後見人等は単にお金を管理するだけではありません。
本人の生活状況を把握し、本人の意思を尊重しながら、必要な医療・介護・福祉サービス等が利用できるよう法律面から支援します。
第5章 成年後見人が「できないこと」は?
ここは非常に重要です。
1.実際の介護
成年後見人が、
食事介助
排泄介助
掃除
送迎
病院への付き添い
などを自ら行うことは、成年後見人としての職務ではありません。
必要な介護サービス等を契約・調整することと、後見人自身が介護をすることは別です。
2.身元保証人・身元引受人になること
成年後見人だからといって、
老人ホームの身元保証人
入院保証人
身元引受人
に当然になれるわけではありません。
「成年後見人がいるから身元保証はいらない」
とも、
「身元保証があれば成年後見はいらない」
とも一概には言えません。
役割が違うからです。
3.医療行為への同意
成年後見人だからという理由だけで、手術などの医療行為について本人に代わって同意する権限が当然に与えられるわけではありません。
「後見人=医療同意できる人」と考えないことが重要です。
4.何でも本人の代わりに決めること
成年後見制度は、本人の人生を後見人が代わりに決める制度ではありません。
本人の意思を尊重することが基本です。
第6章 成年後見と身元保証は何が違う?
非常によく混同されるため整理します。
| 項目 | 成年後見 | 身元保証 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 判断能力が不十分な本人の法律的支援 | 入院・施設入居等で求められる保証・支援 |
| 財産管理 | 権限に応じて行う | 原則として別問題 |
| 契約代理 | 権限に応じて可能 | 契約内容による |
| 身元保証 | 後見人の当然の職務ではない | 主な役割の一つ |
| 医療同意 | 原則として権限なし | 身元保証契約があっても当然に医療同意権が生じるわけではない |
| 実際の介護 | 後見人の職務ではない | 通常は別サービス |
| 死後の手続き | 原則として死亡で職務終了 | 死後事務契約等が別途必要な場合がある |
重要なのは、
「どちらが上か」
ではありません。
何に困っているのかによって必要な制度・支援が違います。
第7章 成年後見と死後事務は同じ?
同じではありません。
成年後見は、基本的に本人が生きている間の法律的支援を行う制度です。
本人が亡くなると、成年後見人等の職務は原則として終了します。
一方、死後事務では、
・葬儀
・納骨
・行政手続き
・公共料金等の解約
・家財、残置物
・賃貸住宅の明渡し
など、死亡後に必要となる手続きを扱います。
成年後見を利用しているから、
「亡くなった後のことも全部大丈夫」
とは限りません。
おひとりさまや身寄りがない方は、生前の支援と死亡後の支援を分けて考えることが重要です。
第8章 成年後見と遺言は何が違う?
成年後見と遺言も役割が違います。
成年後見は、
「生きている本人を支える制度」
です。
遺言は主として、
「死亡後の財産の承継等について本人の意思を残す仕組み」
です。
そのため、
成年後見を利用すれば遺言が不要
という関係ではありません。
また、後見人が本人に代わって遺言を作ることもできません。
成年後見と任意後見はどちらを選べばいい?
大きな判断ポイントは、
「現在、本人に十分な判断能力があるか」
です。
十分な判断能力があり、
「将来に備えて自分で支援者や支援内容を決めたい」
のであれば、任意後見を検討する余地があります。
すでに判断能力が不十分になっている場合には、法定後見制度を検討することになります。
ただし、本人の状態によって判断が異なるため、早めに専門窓口へ相談することが重要です。
第9章 成年後見制度を利用する流れ
法定後見の場合、大まかには次のように進みます。
相談
↓
本人の状況・判断能力・必要な支援を整理
↓
申立ての準備
↓
本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立て
↓
家庭裁判所による調査・必要に応じた鑑定等
↓
審判
↓
成年後見人等の選任
↓
支援開始
本人、配偶者、四親等内の親族などが申立人となり得ます。
身寄りがないなど一定の場合には、市区町村長による申立てが検討される場合もあります。
成年後見人は家族がなれる?
家族・親族を候補者として申立書に記載することはできます。
しかし、
「家族を候補者に書けば必ずその人が成年後見人になる」
わけではありません。
成年後見人等を実際に選任するのは家庭裁判所です。
本人の財産、家族関係、必要な支援等を踏まえ、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職等が選任される場合もあります。
成年後見制度には費用がかかる?
はい。
大きく、
・申立てに必要な費用
・必要に応じた鑑定費用
・成年後見人等への報酬
などがあります。
後見人等の報酬については、後見人が自由に決めるものではありません。
後見人等が家庭裁判所へ報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所が本人の財産等から支払う報酬額を決めます。
そのため、
「成年後見は毎月必ず○万円」
と一律には言えません。
また、自治体によっては、申立費用や後見人等への報酬について助成制度を設けている場合があります。
一度成年後見を始めたら途中でやめられる?
現行制度では、
「家族の都合で必要なくなったから自由に終了する」
という制度ではありません。
後見人等の辞任にも家庭裁判所の許可が必要です。
制度を利用する前に、
「今の問題を解決するために本当に成年後見制度が必要なのか」
を整理することが非常に重要です。
第10章 2026年、成年後見制度は大きく変わります
ここは2026年現在、特に重要です。
2026年6月24日、成年後見制度の見直しを含む改正法が公布されました。
改正法では、現在の「後見」「保佐」を廃止し、「補助」の制度へ一元化するなど、本人に必要な範囲で制度を利用できる仕組みへ見直すことが予定されています。
ただし注意してください。
2026年9月現在、この新制度がすでに全面施行されているわけではありません。
成年後見制度の見直し部分は、2026年6月24日の公布から2年6か月以内の政令で定める日に施行されます。
そのため現在は、
「現行制度」と「成立済みだが施行前の新制度」
を分けて理解する必要があります。
この記事も施行日・政令・運用の詳細が確定した段階で更新します。
東京都で成年後見について相談したい場合
東京都では、各区市町村に成年後見制度の相談を行う推進機関が設置されています。
「成年後見制度について知りたい」
「申立て方法が分からない」
「後見人について相談したい」
といった場合は、お住まいの区市町村の成年後見制度推進機関が公的な相談先の一つです。
地域包括支援センター、自治体の高齢者・福祉担当窓口等から必要な支援につながることもあります。
身寄りがない高齢者は成年後見だけで解決する?
必ずしもそうではありません。
例えば、
認知症で財産管理が難しい
→ 成年後見等を検討
老人ホームで身元保証人が必要
→ 身元保証の問題
退院後の住まいがない
→ 居住支援の問題
日常生活を支えてほしい
→ 介護・生活支援等の問題
亡くなった後の手続きが心配
→ 死後事務等の問題
というように分けて考える必要があります。
「身寄りがない」という一つの言葉の中に、複数の支援ニーズが含まれているからです。
現場で特に注意したいこと
成年後見制度について相談を受ける際に大切なのは、
「成年後見を使えるか」
から考えることではありません。
まず、
「今、何に困っているのか」
を具体化することです。
例えば、
「老人ホームに保証人が必要」
という問題なら、成年後見だけでは解決しない可能性があります。
「認知症で預金管理や契約ができない」
なら、成年後見等の検討が必要になるかもしれません。
「亡くなった後が心配」
なら、成年後見とは別に死後事務や遺言等を検討する必要があります。
制度から人を見るのではなく、
本人の困りごとから必要な制度を考える。
これが大切です。
一般社団法人東京都社会福祉支援センターへ相談できること
一般社団法人東京都社会福祉支援センターでは、
「成年後見を利用した方がいいでしょうか?」
という段階のご相談でも、まず現在の困りごとを整理します。
例えば、
・認知症の親の今後が心配
・老人ホームへ入居したい
・身元保証人がいない
・退院後の住まいがない
・高齢で賃貸住宅が見つからない
・おひとりさまで将来が心配
・亡くなった後の手続きが心配
・相続や不動産についても整理したい
などです。
そのうえで、
成年後見
身元保証
老人ホーム
居住支援
生活支援
死後事務
相続・不動産
など、どの問題を誰につなぐ必要があるのかを整理していきます。
法律上の判断や専門資格が必要な手続きについては、適切な専門窓口・専門家につなぐことが重要です。
ご本人・ご家族だけでなく、
ケアマネジャー
病院MSW
退院支援担当者
地域包括支援センター
など支援者の方からの相談にも対応しています。
「成年後見が必要なのか、それとも別の支援なのか分からない」
そんな段階からご相談ください。
制度を決めてから相談する必要はありません。
まず「何に困っているのか」を一緒に整理するところから始めます。
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