賃貸住宅の解約は誰がするのか?身寄りがない方・おひとりさまが知っておきたい死後事務と終活

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導入文|賃貸住宅の解約は、亡くなった後に自然に終わるものではありません

賃貸住宅の入居者が亡くなった場合、「賃貸住宅の解約は誰がするのか」という問題が必ず出てきます。

結論からいうと、亡くなった方の賃貸借契約は自動的にすぐ消えるわけではなく、原則として相続人などが対応する必要があります。家主や管理会社が勝手に部屋を片付けたり、契約を終了させたりできるわけではありません。

ただし、身寄りがない方、相続人と連絡が取れない方、親族と疎遠な方、おひとりさまの場合は、誰が解約手続きを行うのかが大きな問題になります。

賃貸住宅の解約では、次のような手続きが発生します。

賃貸借契約の解約連絡。
家賃や共益費の精算。
室内の荷物整理。
原状回復費用の確認。
公共料金やインターネットの解約。
鍵の返却。
敷金の精算。
保証会社や連帯保証人への連絡。

つまり、賃貸住宅の解約は「管理会社に電話すれば終わり」という簡単なものではありません。

特に、亡くなった後の賃貸住宅の解約は、死後事務の中でもトラブルになりやすい分野です。

部屋に残された荷物を誰が処分するのか。
家賃はいつまで発生するのか。
敷金は誰に返されるのか。
原状回復費用は誰が負担するのか。
相続人がいない場合はどうなるのか。
老人ホーム入居後に空き部屋になった賃貸住宅はどうするのか。

こうした問題は、生前に準備しておかないと、家主、管理会社、親族、施設、支援者が困ってしまうことがあります。

賃貸借契約は、貸主が住まいを使用させ、借主が賃料を支払い、契約終了時には借りた部屋を返すことを内容とする契約です。日本弁護士連合会の賃貸借契約の解説でも、賃貸借契約は物件を使用収益させ、その対価として賃料等を支払い、契約終了時に借りた部屋を返す契約と説明されています。

だからこそ、入居者が亡くなった後も「部屋を返す」という実務が残ります。

一般社団法人東京都社会福祉支援センターでは、老人ホーム紹介、身元保証、死後事務、死後事務委任契約、終活相談を通じて、おひとりさまや身寄りがない方の将来の不安に寄り添っています。

この記事では、賃貸住宅の解約は誰がするのか、身寄りがない場合はどうなるのか、死後事務委任契約でどこまで準備できるのかを分かりやすく解説します。


第1章 賃貸住宅の解約は誰がするのか?

結論からいうと、賃貸住宅の入居者が亡くなった場合、解約や明け渡しは、原則として相続人などが対応することになります。

賃貸住宅に住んでいる方が亡くなっても、その瞬間に部屋の契約がすべて自動的に終了するわけではありません。

亡くなった方が借りていた部屋には、家具、家電、衣類、書類、写真、貴重品、日用品などが残ります。

また、家賃、共益費、電気、ガス、水道、インターネット、火災保険、保証会社との契約なども関係します。

つまり、亡くなった後には「住まいの後始末」が必要になります。

この住まいの後始末が、死後事務の重要な一部です。

賃貸借契約は勝手に終わらせられない

賃貸住宅の契約は、貸主と借主の契約です。

借主が亡くなった場合でも、家主や管理会社が勝手に室内へ入り、荷物を処分し、契約を終了させることは簡単ではありません。

室内に残された荷物は、亡くなった方の財産にあたる可能性があります。

そのため、相続人の確認や、適切な手続きを踏む必要があります。

たとえば、家主からすると「早く次の入居者を募集したい」と思っても、室内の荷物を勝手に処分するとトラブルになる可能性があります。

一方で、相続人や親族が対応しなければ、家賃や管理費が発生し続ける可能性もあります。

このため、入居者が亡くなった後の賃貸住宅の解約は、早めに対応者を決めておくことが非常に重要です。

相続人が対応することが多い

一般的には、亡くなった方の配偶者、子ども、兄弟姉妹などの相続人が、管理会社や家主に連絡し、賃貸借契約の解約、荷物整理、鍵の返却、敷金精算などを進めます。

ただし、相続人がいるからといって必ずスムーズに進むとは限りません。

相続人が遠方に住んでいる。
相続人同士の関係が悪い。
相続人が高齢で動けない。
親族と長年連絡を取っていない。
相続人が相続放棄を検討している。
部屋の中の荷物が多すぎる。

このような場合、賃貸住宅の解約や明け渡しが進みにくくなります。

連帯保証人や保証会社が関わることもある

賃貸借契約では、連帯保証人や保証会社がついていることがあります。

入居者が亡くなった後、家賃の未払い、原状回復費用、残置物処分費用などが発生した場合、保証会社や連帯保証人に連絡が入ることがあります。

ただし、保証会社や連帯保証人が、当然に室内の荷物を整理したり、契約解約を自由に行ったりできるとは限りません。

費用面と実務面は分けて考える必要があります。

つまり、

お金の精算を誰が負担するのか。
部屋の荷物を誰が片付けるのか。
解約書類を誰が出すのか。
鍵を誰が返すのか。

これらは別々の問題です。

死亡届の手続きと賃貸解約は別問題

入居者が亡くなった場合、死亡届の提出も必要になります。

法務省の案内では、死亡届の届出人には、親族、同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者などが含まれ、死亡の事実を知った日から7日以内に届け出る必要があります。

ただし、ここで注意したいのは、死亡届を出せる人と、賃貸住宅を解約できる人は同じではないということです。

家主や家屋管理人が死亡届の届出人になり得る場合があっても、その人が自由に荷物を処分し、賃貸契約を終了させられるわけではありません。

「死亡届を出せること」と「部屋を明け渡せること」は別の問題です。

ここを混同すると、トラブルの原因になります。


第2章 身寄りがない場合、賃貸住宅の解約はどうなる?

結論からいうと、身寄りがない場合でも、賃貸住宅の解約や部屋の明け渡しは必要です。

しかし、誰が対応するのかが決まっていないと、家主、管理会社、保証会社、自治体、施設関係者などが困ってしまうことがあります。

おひとりさまや身寄りがない方の場合、亡くなった後に次のような問題が起こりやすくなります。

親族に連絡がつかない。
相続人が分からない。
相続人がいても対応を拒む。
部屋の中に荷物が大量にある。
貴重品や重要書類の所在が分からない。
家賃が発生し続ける。
公共料金やサブスク契約が止まらない。
保証会社や連帯保証人に負担がかかる。

このような状況になると、賃貸住宅の解約までに時間がかかることがあります。

家主や管理会社が一番困るのは「荷物」

賃貸住宅で入居者が亡くなった場合、家主や管理会社にとって大きな問題になるのが、室内の荷物です。

家具、家電、衣類、書類、写真、通帳、印鑑、保険証券、年金関係の書類、仏壇、ペット用品、趣味の品など、室内には多くの物が残されています。

これらを勝手に処分することはできません。

特に、貴重品や重要書類が混ざっている場合は慎重な対応が必要です。

そのため、家主や管理会社としては、相続人や代理人、死後事務の受任者など、正式に対応できる人と連絡を取る必要があります。

家賃はいつまで発生するのか

賃貸住宅の解約ができないまま部屋が残っていると、家賃や共益費が発生し続ける可能性があります。

もちろん、具体的な扱いは契約内容や状況によって異なります。

しかし、少なくとも部屋が明け渡されていない限り、家主側としては次の入居者を募集できません。

そのため、解約と荷物整理をできるだけ早く進めることが大切です。

身寄りがない方の場合、生前に「亡くなった後は誰が部屋を片付けるのか」を決めておかないと、手続きが長引きやすくなります。

相続放棄が絡むとさらに複雑になる

親族がいても、相続放棄を考えている場合は注意が必要です。

相続放棄をする予定の人が、部屋の荷物を勝手に処分したり、財産を使ったりすると、相続放棄との関係で問題になる場合があります。

そのため、相続放棄が関係しそうな場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談する必要があります。

ここで重要なのは、賃貸住宅の解約は、単なる不動産手続きではなく、相続、残置物、費用精算、死後事務が絡む複合的な問題だということです。

老人ホーム入居後の賃貸住宅にも注意

老人ホームへ入居する際に、元の賃貸住宅をそのまま残している方もいます。

「施設に慣れるまで部屋を残しておきたい」
「荷物整理がまだ終わっていない」
「いずれ戻るかもしれない」

このような理由で、賃貸住宅を残すことがあります。

しかし、そのまま亡くなった場合、元の部屋の解約や荷物整理が必要になります。

老人ホームは、施設内の居室については対応することがありますが、外部に残された賃貸住宅の解約や荷物整理まで当然に行うわけではありません。

つまり、老人ホーム入居時点で、元の住まいをどうするかを整理しておくことが大切です。

身寄りがない方は生前準備が必要

身寄りがない方が賃貸住宅に住んでいる場合、生前に次のことを整理しておくことをおすすめします。

賃貸借契約書の保管場所。
管理会社・家主の連絡先。
保証会社の有無。
家賃の支払い方法。
火災保険の契約内容。
公共料金の契約先。
インターネット・携帯電話・サブスク契約。
残してほしい物、処分してよい物。
死後事務を任せる人や法人。
家財整理費用の準備。

これらを準備しておくことで、亡くなった後の混乱を大きく減らせます。


第3章 賃貸住宅の解約で必要になる手続き

結論からいうと、亡くなった後の賃貸住宅の解約では、契約解除だけでなく、荷物整理、費用精算、鍵返却、公共料金停止まで一連の手続きが必要です。

具体的には、次のような流れになります。

1. 管理会社・家主への連絡

まず、管理会社や家主へ入居者が亡くなったことを連絡します。

このとき、誰が連絡するのかが重要です。

相続人、親族、成年後見人、死後事務の受任者、身元保証会社など、状況によって連絡する人は変わります。

連絡時には、契約者名、物件名、部屋番号、死亡日、今後の対応者、荷物整理の予定などを伝える必要があります。

2. 賃貸借契約書の確認

次に、賃貸借契約書を確認します。

確認すべきポイントは次のとおりです。

解約予告期間。
連帯保証人の有無。
保証会社の有無。
敷金の有無。
原状回復の取り決め。
残置物の扱い。
孤独死や死亡時の特約。
火災保険や家財保険。

契約内容によって、解約手続きや費用精算が変わることがあります。

3. 室内の荷物確認

室内に残された荷物を確認します。

ただし、勝手に処分してはいけません。

貴重品、通帳、印鑑、保険証券、年金書類、契約書、遺言書、エンディングノートなどが含まれている可能性があります。

死後事務の現場では、荷物整理は非常に重要です。

単なる片付けではなく、財産や重要書類の確認を伴うからです。

4. 家財整理・残置物処分

必要な物を確認した後、家財整理や残置物処分を行います。

家具、家電、衣類、寝具、食器、本、日用品などを整理します。

状況によっては、専門の遺品整理業者に依頼することもあります。

このとき、費用が発生します。

部屋の広さ、荷物の量、搬出条件、特殊清掃の有無によって費用は大きく変わります。

5. 原状回復の確認

荷物を撤去した後、管理会社や家主と室内の状態を確認します。

原状回復費用が発生する場合があります。

ただし、通常使用による経年劣化や自然損耗まで借主側が全額負担するとは限りません。

賃貸住宅の原状回復では、通常使用による経年劣化と、借主側の故意・過失による損耗を分けて考える必要があります。不動産用語辞書でも、賃借人は返還時に原状回復義務を負う一方、通常使用内の経年劣化は賃貸人が負うべきものと説明されています。

6. 公共料金・各種契約の停止

電気、ガス、水道、電話、インターネット、新聞、宅配サービス、サブスクリプション契約などを停止します。

最近は、ネット契約や月額サービスが多いため、本人以外には把握しにくいことがあります。

生前に契約一覧を作っておくと、死後事務が進めやすくなります。

7. 鍵の返却と敷金精算

最後に、鍵を返却し、敷金や費用の精算を行います。

敷金が返金される場合、誰に返金されるのかも確認が必要です。

相続人、遺言執行者、死後事務受任者など、状況によって扱いが変わります。


第4章 死後事務委任契約で賃貸住宅の解約までお願いできる?

結論からいうと、死後事務委任契約を結んでおくことで、亡くなった後の賃貸住宅の解約や荷物整理を依頼できる場合があります。

ただし、契約書に具体的に書いておくことが重要です。

「死後のことをお願いします」だけでは不十分です。

賃貸住宅に住んでいる方は、契約内容の中に、次のような項目を入れておくと安心です。

管理会社や家主への連絡。
賃貸借契約の解約手続き。
室内の荷物整理。
必要書類や貴重品の確認。
家財処分の手配。
公共料金の停止。
インターネットや電話の解約。
鍵の返却。
原状回復費用の精算。
敷金精算の確認。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後に必要となる事務手続きを、生前に信頼できる人や法人へ依頼しておく契約です。

葬儀、火葬、納骨、病院や施設費用の精算、賃貸住宅の解約、家財整理、公共料金の停止、関係者への連絡などを依頼できることがあります。

高齢者等終身サポート事業について、消費者庁のガイドラインでは、身元保証等サービスや死後事務サービスを含む事業が増加しており、契約が長期にわたること、費用が前払いされる場合があることなどから、契約内容の確認が重要であるとされています。

つまり、死後事務委任契約は非常に大切な備えですが、契約内容の確認も同じくらい大切です。

身元保証と死後事務はセットで考える

老人ホーム入居を考えている方の場合、身元保証と死後事務はセットで考える必要があります。

身元保証は、生前の入院、施設入居、緊急連絡、支払い確認などを支えるものです。

死後事務は、亡くなった後の葬儀、納骨、賃貸住宅解約、家財整理、費用精算などを支えるものです。

賃貸住宅に住んでいる方が老人ホームへ入居する場合は、次の2つを同時に考える必要があります。

生前:老人ホーム入居時の身元保証。
死後:元の賃貸住宅や施設居室の整理。

この準備をしておくことで、ご本人も周囲の方も安心できます。

契約前に確認すべきこと

死後事務委任契約で賃貸住宅の解約を依頼する場合、次の点を確認しましょう。

賃貸住宅の解約まで対応してくれるか。
家財整理業者の手配は含まれるか。
費用はどこまで含まれるか。
預託金は必要か。
原状回復費用はどう扱うか。
相続人がいる場合の連絡方法。
貴重品や重要書類の扱い。
解約後の敷金精算の扱い。
途中解約や契約変更ができるか。

死後事務は、契約書があるだけでは十分ではありません。

実際に動ける支援体制があるかどうかが重要です。


第5章 よくある質問|賃貸住宅の解約と死後事務

Q. 賃貸住宅に住んでいる人が亡くなったら、契約は自動で終了しますか?

いいえ。亡くなったからといって、必ず自動的にすぐ終了するとは限りません。

管理会社や家主への連絡、荷物整理、鍵返却、費用精算などが必要になります。

Q. 家主や管理会社が勝手に荷物を処分できますか?

原則として、勝手に処分することはトラブルの原因になります。

室内の荷物は亡くなった方の財産にあたる可能性があるため、相続人や正式な対応者の確認が必要です。

Q. 身寄りがない場合はどうすればいいですか?

元気なうちに死後事務委任契約を結び、賃貸住宅の解約や家財整理を誰に任せるか決めておくことが大切です。

Q. 老人ホームに入る前に賃貸住宅は解約した方がいいですか?

状況によります。

施設に慣れるまで残す方もいますが、家賃負担や死亡後の解約手続きを考えると、早めに整理することをおすすめします。

Q. 公共料金やスマホの契約も死後事務で対応できますか?

契約内容によりますが、死後事務委任契約に具体的に記載しておくことで、電気、ガス、水道、電話、インターネットなどの解約手続きを依頼できる場合があります。

Q. 家財整理の費用は誰が払いますか?

原則として、亡くなった方の財産や相続人、契約で準備した預託金などから支払われることがあります。

事前に費用の準備方法を確認しておくことが大切です。


まとめ|賃貸住宅の解約は、生前に準備しておくことで安心できます

賃貸住宅に住んでいる方が亡くなった場合、契約は自然にすべて終わるわけではありません。

管理会社や家主への連絡、契約解約、荷物整理、原状回復、公共料金の停止、鍵の返却、敷金精算など、さまざまな手続きが必要になります。

多くの場合は相続人や親族が対応しますが、おひとりさまや身寄りがない方、親族に頼れない方の場合は、誰が手続きを行うのかを生前に決めておく必要があります。

特に賃貸住宅に住んでいる方は、死後事務委任契約で、賃貸住宅の解約や家財整理まで依頼できるよう準備しておくと安心です。

終活は、亡くなった後のためだけではありません。

今を安心して暮らすための準備です。


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